横隔膜腹膜心嚢膜ヘルニア
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横隔膜ヘルニアは先天性のものと、交通事故などの外傷による後天性のものに大別されます。
ここでは、先天性の場合にみられる横隔膜ヘルニアについてお話させて頂きます。
横隔膜は胸腔と腹腔を分ける膜であり、呼吸に密接に関わっています。
『ヘルニア』とは『とび出す・逸脱する』という意味があり、横隔膜ヘルニアとは横隔膜に穴が開いてお腹の中の臓器が胸腔内にとび出してしまう病気です。
この中でも、横隔膜腹膜心嚢膜ヘルニアという病気について説明しますが、他に、胃の一部がとび出してしまう食道裂孔ヘルニアというものも存在します。
横隔膜腹膜心嚢膜ヘルニアは、『横隔膜』と、心臓を包む膜である『心嚢膜』が癒着し、それぞれを繋ぐトンネルとなる穴が開いてしまう病気です。
このトンネルを通じてお腹の中の臓器(脂肪や肝臓、腸など)がとび出し、心臓の周りに入り込みます。
穴のサイズなど様々な条件によって何がどれくらい出ているかは異なり、それに伴って症状も様々です。
症状
穴が小さい場合や、臓器の逸脱が軽度な場合には無症状のことがあります。 この場合には、健康診断や不妊手術の術前検査などで偶然見つかることがあり、年をとってから診断がつくこともありえます。
症状が出る場合も様々で、元気や食欲の低下や何となく成長が遅い、大きくならないといった曖昧なものから、時々吐く、呼吸が苦しそう、といった症状がみられることもあります。
診断
診断自体は容易で、X線検査や超音波検査で特徴的な所見が得られますが、逆に、こうした画像診断以外での診断は困難です。
聴診や呼吸様式の変化がこの病気のヒントになることもあります。
X線検査ではお腹の中の臓器が胸の中にみられます。
肝臓や脂肪が入り込むことで心臓の形が異常に大きく見えることもありますし、腸が入り込むと心臓の周りに腸のガスがみられるようになります。
超音波検査でも心臓の周りに肝臓や腸など、本来見えるはずのないお腹の中の臓器が認められます。
治療
手術が治療の第一選択肢となります。
ただし、お年をとってから偶然見つかったような場合には手術はせずに経過観察とすることがあります。
唯一の治療方法である手術ですが、麻酔や術後管理などからリスクは比較的高い病気です。
臓器を戻して穴を塞いで『はい!大丈夫です』とはならないことが多々あります。
ヘルニア内にとび出ていた臓器を元に戻すと、空いたスペースで急速に肺が広がることで再拡張性肺水腫という重篤な問題を起こすことがあります。
また、胸腔内に穴が開いてしまうことで胸腔内が空気で満たされる気胸という病態に繋がることもあります。
これらの病態は適切な麻酔や術後管理を必要とします。
年をとってから見つかる場合や、ヘルニアの穴が大きい場合にはこれらの病態を引き起こす可能性が高くなり、より注意が必要となります。
また、こうした病態を引き起こさずに済んだ場合でも、侵襲性の高い手術ですので痛みの管理も重要ですし、横隔膜を縫合するため呼吸の変化も重要になってきます。
当院では、これらの病態にしっかりと備え、万が一の場合にも適切な麻酔・術後管理が行えるよう細心の注意を払って治療を行っています。
なお、この病気は早期に発見できることが一番ですが、避妊手術や去勢手術の術前検査時に偶然見つかることもあります。
逆に、術前検査を行わずに手術となると、これらの病態に気付かないまま麻酔をかけ、命の危険に繋がることがありえます。
こうした理由からも、当院では元気で食欲もある場合でも、全身麻酔の際には適切な術前検査を行うことをお勧めしております。
また、上記のような症状など気になることがある場合には勿論、一度ご相談頂きたいと思います。
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