心タンポナーデ
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急にぐったりしてしまったとして来院したダックスさんで、来院時にもぐったりとしていました。
超音波検査で心タンポナーデという病態であることがわかりました。
心臓は、心嚢膜という薄い膜に包まれており、心嚢膜と心臓の間には正常の場合でも心嚢水という少量の液体が入っています。
この部分に何らかの原因で異常に液体が溜まって心臓を圧迫し、心臓の拡張を妨げてしまっている状態を心タンポナーデと言います。
この状態は心臓のポンプ機能を著しく損なうため、直ちに命に関わることがある深刻な状態です。
症状
元気や食欲の低下、ふらつく、倒れる、呼吸が荒い、など少し前までは元気だったのに、急に倒れて命に関わる、といったことも起こりえます。
原因
治療
心臓の周りに液体があることで心臓は圧迫され、収縮や拡張という正しい動きをを保つことができていないため、全身に血液を送り出すことができず、閉塞性ショックという緊急的な状態にあります。
原因や経過、その時の症状にもよりますが、まずは心臓の周りに溜まっている液体を抜くことが先決です。
方法は心嚢穿刺といって、胸の外から針を刺して液体を抜きます。
液体が抜けると心臓は正常の動きを取り戻し、全身への血液循環が再開します。
この子の場合も来院直後はぐったりとしていましたが、抜去に伴い動きを取り戻しました。
直ちに針を刺して液体を抜きました
溜まっていたのは大量の血液でした
多量にたまった心嚢水を抜いたことで一命は取りとめましたが、その後すぐに同様に液体が溜まってしまうこともあり得ます。再貯留がないか、入院しながら慎重に経過を観察し、超音波検査でも確認します。
この子の場合は直後に再貯留してしまうことはありませんでした。
しかし、元々心タンポナーデを起こしてしまった原因を探ることは重要で、原因によってその後の治療も異なってきます。
この子の場合は心臓の一部にある腫瘍が原因でした。
右房内に大きな腫瘤がみられました
心臓腫瘍についてはいずれ別のページでお話をさせて頂きますが、完治は非常に困難です。
しかし、どんなに困難な病気でも、治らないから治療が無駄というわけではありません。
しっかりと診断をして余命を予測し、治療の選択肢を考えることも重要だと考えています。
選択肢として、少しでも良くなる可能性のある治療、余命の改善は見込めないとしても少しでも楽に過ごせる治療など、ペットのためにどの方法が最善かはご家族によっても異なると思います。
仮に残される時間が多くないとしても、ある程度の予測をしたうえで、その時間をいかに楽に、ご家族と一緒に過ごして頂くかということもわんちゃんやネコちゃんにとって重要だと思います。
そうした目的を達成できるよう、当院では極力お話を伺い、お力になりたいと思っています。
勿論、この病気も早期発見が重要です。
原因にもよりますが、早期であれば治療の選択肢も増える可能性があります。
心配のある場合や、既に診断のついている子は勿論ご相談頂きたいですが、元気な子の健康診断もご検討下さい。
お問い合わせ
当院は飼い主様とペットに親しまれ信頼されるホームドクターを目指しております。
些細なことでもお気軽にご相談ください。
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一般内科、軟部外科、心タンポナーデ、循環器科、呼吸器科、整形外科、消化器科、皮膚科、脳神経科、内分泌科、泌尿生殖器科、血液免疫疾患科、筋骨格系疾患、眼科、耳鼻科、歯科、救急診療科、その他
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